マット産みタイプのクワガタの産卵セット
ノコギリクワガタやミヤマクワガタをはじめとするマット産みタイプのクワガタの産卵セット方法を紹介します。
まず用意する物としては、
●飼育ケース・中〜小、沢山産ませたい場合は大きいものを準備しましょう
●マット(幼虫の餌)
●産卵木(必ずしも必要ではありません)
●転倒防止用の枯葉、樹皮、小枝など
です。
マットの選び方
まず始めにマットの選び方について解説します。
初めてクワガタを飼育される方は購入するマットの種類にご注意下さい。必ず幼虫飼育用と書かれているマットを購入する必要があります。
成虫飼育用や埋め込みマットと書かれている場合は幼虫飼育には向かず、幼虫の餌にならない事が多いため、購入する時に注意して下さい。
マットの種類として、未発酵マット(一次発酵マット)と呼ばれる朽木を粉砕したばかりの状態のマットから、微生物による分解が進み茶色〜黒へと色が変化した発酵マット(2次発行マット)の2種類が存在します。
マットが熟成し発酵が進めば進むほど色が土のような黒っぽい色に変化します。
クワガタの種類によって、発酵度合いの弱いマットを好むものや、発酵度合いの強いマットを好むものまで様々です。
参考までに「クワガタの種類に応じたマットの色」について掲載しておきます。
うす茶色 | 茶色 | こげ茶色 | 黒 | |||
オオクワ | コクワ | アカアシ | ノコギリ | ミヤマ | ヒラタ | カブトムシ |
あくまで参考程度です。表が完璧だとは言えませんし、発酵度合いの低いマットでヒラタが大きく育ったという話を聞いた事があります。マットの好みはあると思いますが結構適応範囲は広いと思います。
心配ならマットに書かれている解説を読むか、信頼できるショップで店員さんに相談した上で購入しましょう。
この他に自作でマットを作られるブリーダーさんも多いと思います。ここでは詳しく書きませんが、未発酵のマットや生のオガクズを購入し添加剤をまぜ発酵させ、自分の好みの状態に仕上げていきます。
私も自作マットにチャレンジした事がありますが、自分で作ったマットでクワガタを大きく育てるのも楽しいものです!(^^)
マットの準備
購入したマットが無臭もしくは土のような臭いであれば問題ありませんが、強い臭いや独特の発酵臭がする場合は一度ガス抜きをする必要があります。
ガス抜きは写真のように、マットを衣装ケースなどにあけ攪拌し新鮮な空気を取り込んでやる事で、臭いが薄れ数日で土のような臭いに変化します。
衣装ケースを使わない場合は、1週間弱かかりますが、袋を開封する前にマチ針などで数十箇所小さい穴をあけ、袋ごと振ってマットに新鮮な空気を取り入れてやる事で臭いを消す方法もあります。
産卵木を加水します
マット産みタイプのクワガタのほとんどはマットと材の両方に産卵します。
ですので失敗を避けるためにマットだけでなく材を両方セットする方が成功率が高まります。
ただし、メスが堅い産卵材に卵を産むと体力の消耗に繋がる可能性があり、沢山産ませたい時などは産卵材を入れないという選択肢もあります。
ベテランブリーダーの方でマット産み種の場合は産卵材を入れないという方も多いと思いますので、その時の状況に応じて入れるか入れないか決めて頂ければ結構です。
産卵材をセットする場合は、まずバケツ一杯に水を汲み材を入れ蓋をして重石をします。
この状態で約4時間加水します。
4時間経過後、材を取り出して約1時間陰干しするか、材の雑虫が気になる場合は電子レンジで5分以上加熱します。
この加熱は、意見の分かれるところで、材に繁殖する自然の菌まで死滅するから、加熱しない方が良いと言われる方もおられるようです。
電子レンジで加熱した場合は冷えるまで新聞紙にくるむなどして陰干ししておきます。
黒土のセット
いよいよ産卵セットを組んでいきます。
必要に応じて、まずケース底に3cm〜5cm程黒土を硬めに詰めます。
黒土は必須ではありません。ベテランブリーダーで入れない方も多いと思います。
黒土を入れるこよによち、黒土とマットの境目によく産卵し、産卵の確実性は高まると思います。
ちなみに左の写真は黒土ではなくカブトムシのフンです。多く産ませたに場合、黒土の替わりにカブトムシのフンを使うとさらに効果的です。
ただカブトムシのフンを水分調整のため乾燥させすぎると固まり、硬く詰める事が出来なくなるため注意が必要です。
右の写真ではケース底面に黒土をケース底に斜めに詰めていますが、これは黒土を使うと産卵の確立は高まるものの黒土とマットの境目に産卵するため産卵状況が確認しにくなり、斜めセットした方がより産卵状況を確認しやすいからです。
私の場合、普段はマットのみで産卵セットを組み、絶対に失敗したくない時のみ黒土やカブトムシのフンを使うようにしています。
ちなみに写真はギラファノコギリクワガタの産卵セットで、慣れない外国産でかつ絶対失敗したくないので確実性の高いセットで勝負に出ました(笑)、普通ならばマットのみのセットで十分です。
マットをふるいにかける
マットをふるいにかけ微粒子化します。
この作業も必須ではありませんが、マットをふるいにかけた方が産卵数が多く望め、失敗も減るようです。
今回はふるいの網の目が1mmの物を使用しました。
最初から微粒子マットも販売されてますので、確実に産卵させたい場合はそういったマットを購入するのも良いでしょう。
参考までに私が微粒子マットを使うのは、国産のクワガタにおいては一番産みにくいと感じるミヤマのみです。
他の国産クワガタについては今のところあまり気にせずとも産んでます。
産卵木のセット
マットに水を加えケース底に5cm程かなり硬めに詰めます。
マットの水分量の目安はマットを手に持ち強く握って水がしみ出ない程度です。
産卵木をセットしない場合でもケース底3〜5cmはマットをかたく敷き詰めます。
あとはこの上にマットをかけ産卵木を埋めていきます。
上からかけるマットの詰め具合ですが、ふわふわだとクワガタが潜り難いなどあまりよくないので押し固めておきます。
餌皿・枯葉などをセット
餌皿と転倒防止用の枯葉などをセットします。
餌皿については無くてもOKで、ゼリーの上ぶたにカッターで十字に切り目を入れて、直接マットの上に置く方法もあります。
これで準備完了です。クワガタをセットします。
注意点としてノコギリクワガタやミヤマクワガタなどの攻撃的な性格のクワガタの場合、オスとメスをペアで飼育するとオスがメスを殺してしまう事があります。
1週間ほど同居させると交尾はほぼ完了していると思われますので、心配なら1週間ほど同居させた後オスを取り出して別に飼育すると良いでしょう。
ずっと同居させる場合は、枯葉や樹皮などを沢山入れ、隠れる場所を確保してあげる事でメス殺しの事故を多少防げると思います。
ちなみに家では空きケースに余裕がないので、結構オスとメスを同居させていますが、今のところ事故はおきていません。
あとは週に1回くらいチェックしてマットの表面が乾いているようなら、霧吹きで軽く湿らせてあげます。
餌も減ってなくても週に1度は取り替えてあげましょう。
産卵の確認
産卵セットが気に入ってくれればメスが潜ってあまり出てこなくなります。
またメスが産卵に集中すると餌が減らなくなります。
いつ見てもメスが潜らず、餌も毎回減っているようならば、産卵セットが気に入らない可能性があります。
その場合は最初から新たに産卵セットを組みなおした方が良いでしょう。
メスがよく潜るようなら、ケースの側面や底面から卵が確認できる場合があります。
思い入れの強いカブトムシ・クワガタの場合は、毎日ケースの側面や底を眺める日を送る事になります(笑)